PURE BEAUTY恵比寿のドクターです!
みなさんはZO SKINの一部の製品で、妊娠中・授乳中に使用できないものがあることをご存知ですか?
妊娠中・授乳中に使用できないものは
スキンブライセラム0.25/0.5、Wテクスチャーリペア、トレチノイン、ARナイトリペアです。
いずれもアクティブレチノールの分類に含まれるものになります。
特にビタミンAとしての作用が強く、ビタミンAは妊娠初期において催奇形性をもつことは、各種の動物実験やヒトでの研究結果で報告されています。(1、2
今日は、本当に妊娠中にゼオスキンをお休みしないといけないのか?を考察しようと思います。
ビタミンAの摂取上限とゼオスキンのレチノール量
厚生労働省では、妊娠初期の推奨量はレチノール換算で1日あたり650〜700μg、妊娠後期で730〜780μgであり、摂取の上限は2700μgと定められそれを越えるとリスクが高まると言われています。(3
例えば、Wテクスチャーリペア(1本50ml)を3ヶ月で使い切ったとすると
1日あたりの使用量は50ml÷30日÷3ヶ月で約0.55ml
Wテクスチャーリペアは0.5%レチノールですのでレチノール成分は0.00275ml、2.75μlのレチノールを毎日顔に塗布していることになります。
レチノールの密度はおそらく水よりも高いので、1日あたり約3μg塗布していると仮定します。
そう考えると、摂取の上限量(2700μg)から考えてかなりの余裕はありそうです。
(余裕がありすぎて「あれ?計算あってる?」と不安になり、何度も計算したのは秘密です。)
また、最初に述べたビタミンAの推奨摂取量は、経口摂取の場合です。
食事でビタミンAを摂取する場合と比べ、皮膚に塗って吸収される量はかなり少ないと考えられます。
実際にどのくらい吸収されるかというデータは、残念ながら信頼できる文献の中からは調べた限りありませんでしたが、まるごと血流に乗っかることはまずなく、吸収されるのはごく微かだと考えられます。
計算上、Wテクスチャーリペアを10本まるごと一気に顔に塗ったら良くない影響はあるかもしれません。
その前に、10本塗布なんて大変なことになりそうで、考えただけで恐ろしいですが。笑
外用で催奇形性の報告はないが肌トラブルの原因に
そもそもトレチノイン外用やレチノール類の「外用」で、催奇形性との関連の報告は調べた限りではみつからず、妊娠中のアクティブレチノールの使用は絶対禁忌とは言えないのでは?と個人的には思います。
しかし、保険診療でニキビの治療薬として使われるビタミンAのアダパレンは妊娠中禁忌となっています。また妊娠中は肌状態が変化したり敏感肌に傾くために、通常時は適正な使用量でも肌トラブルが起こりやすくなります。
そういった背景により、ゼオスキンでは妊娠中授乳中はアクティブレチノールの使用を控えるよう周知されています。
したがって、ゼオスキン使用中に妊娠がわかった場合、その時点からアクティブレチノールの中止をしていただければ問題ないと考えます。
ちなみに一例としてですが、Wテクスチャーリペア使用中に妊娠し、残ったものを出産まで腕に塗りたくりつつ、元気な赤ちゃんを産んだ女性もいます。
私です。笑
分娩室で、腕だけ皮剥けボロボロで助産師さんに「どうしたんですか腕?!」と心配されました。
※あくまで一例ですので、絶対にマネはしないでください…
どうせ産後にシミは増えるので、卒乳してから攻めのゼオスキンは再開しましょう!
参考文献
1)Azaïs-Braesco V, Pascal G. Vitamin A in pregnancy: requirements and safety limits. Am J Clin Nutr. ; 71: 1325-33, 2000
2)Oakley G. Erickson, J. : Vitamin A and birth defects. New England J. Med. ,333: 1414-1415, 1995
3)厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2020年度版
この記事を書いた人
-
美容医療やアンチエイジングを通して、今までたくさんの方の思いに寄り添って来ました。一人一人のお悩みに合わせて、若く、美しく見えるお手伝いをいたします。
国内・国外問わず最新の美容施術の知見を収集したり、化粧品の成分解析も趣味で勉強しております。クリニックでの施術についてはもちろん、おうちでのスキンケアのご相談などもお任せください。
最新の投稿
- コラム2021年10月4日皮剥けしないゼオスキンのご紹介
- コラム2021年10月4日たるみってなに?
- コラム2021年9月27日マニアックなボトックス注入
- コラム2021年9月27日ダウンタイム上等!ダーマペンと水光注射の使い分け